2.なぜオーダートラッキング解析が必要か

回転物(エンジン、モータ、コンプレッサ、etc.)が回転するとき、回転数に比例した振動や騒音が発生する。その回転数がちょうど、構造物の共振周波数と一致すると、振動や騒音問題、さらに大きなトラブルの原因となる可能性がある。
オーダートラッキング解析では、変化する回転数における振動や騒音の大きさを求めることができる。各回転数での振動や騒音の大きさを確認することによって回転体の特性を把握することができる。問題がある場合はその糸口を見つけることができる。
ここで、回転と周波数の関係、および次数について説明する。

(1)回転と周波数の関係
回転物(エンジン、モータ、コンプレッサ、etc.)が回転するとき、通常RPMなどで表すことが多い。RPMとは(Revolution Per Minute)、つまり1分間の回転数を示す。また、周波数は1秒間の振動数を表す。これらから、RPMを60で割ると周波数に変換できる。
例えば、回転体が600RPMから6000RPMまで変化した場合を考えてみる。
これを周波数に変換すると、10Hzから100Hzまで変化したことになる。この内容を元に、10Hzから100Hzまでの振動解析を行なえば良いかと言うと、実際には単純ではなく次数についても考慮する必要がある。

(2)次数とは何か
3枚羽根の扇風機が1200RPMで回転していたとする。この回転数を周波数に変換すると20Hzとなる。ここで、この20Hzは主成分であり、回転の1次成分と呼んでいる。
つまり、回転数を周波数に変換したものが1次となる。この例では、3枚羽根とすると、1回転する間に3回振動が発生する。一般的に3枚羽根3次の振動が大きくなる。この3次とは、1次を3倍した周波数である。1次が20Hzのとき3次は60Hzとなる。
もちろん、この周波数は回転数に依存するため、回転数が1800RPMのときの1次は30Hzで3次は90Hzである。
歯車で、歯の数が20枚あれば一般的に20次の成分が大きくなる。